2012年5月8日 林 季一郎

カザフで気づいた自分の偏見

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■5月8日

朝8時に起きた。時差のせいでどんどん起きるのが早くなってる。

Wi-Fiが使える近くのSUBWAYに行って

メール対応と昨日あったキャンプファイアーでの支援への対応を済ませ車に戻る。

 

隆も昨日よりはだいぶ体調がよさそうだ。

そして、カザフにいく前にどうしても行きたかった戦争博物館に向かうも、よくわからんが定休日。

仕方なく町を後にする。

 

ロシアとカザフスタンとの国境までは、ここから南に130km程。

何とか17:00までには着きたい。終了~で閉められたらかなわないからね。

 

それに、そもそもこの国境が通れるという確信がない(笑)

 

そう、実はこれから通る国境なんだけど

ガイドブックに載ってない…

 

でも、地図を見ると明らかに道路が通ってるしー

多分大丈夫でしょー

とふんでいる。

 

周りは見渡す限りの草原地帯

この辺りまでくると青々とした景色が広がっている。

 

そんなかわりばえのない景色にうんざりすること3時間

車内の音楽もすでに新鮮味はなく、惰性で洋楽集みたいなのが延々リピートしている。

 

16:30、地平線の彼方に久しぶりに建物らしきものが見えた、国境だ!

なんてことはない、ただの寂れたガソリンスタンドみたいな施設に

ゲートらしきものが併設されてるにすぎない。これならいけそうだ。

 

 

近くまで寄ると、軍人らしき人影が敷地内をうろうろしてる。

その一人が、ここに停めろと指示するので大人しく従う。

そのままいったん車を降りて、出国手続きへ、掘っ立て小屋みたいなとこに向う。

 

そこで簡単な出国チェックをし、車の手続きも完了、10分程ですべて終った。

 

担当官:「どこまで行くんだ?」

 

俺:「アフリカです」

 

担当官:「…。」

 

手続き終了。意外と単純だ。

あとは、自分で車にのってゲートを通過し、カザフスタン側の今度は入国手続きへ。

どちらかというとこっちの建物の方がはるかにしっかりしてる。コンクリート製だ。

チンギスハンの生まれ変わりみたいな顔つきの軍人に第一ゲートを開けてもらい、管理棟へ入る。

 

3人がすでに並んで自分の番を待っていた。

2人は泥酔、1人はシラフで見た感じも人が良さそうな青年。

当然、そっちに声をかけた。

 

すると、どうやら俺らがこれから向うセメイの町から来たようだ。

聞くところ飯はうまいらしい、楽しみだ。そして、俺の番が来た。

 

ついに来たか!と身構えて担当官のデスクへ。

ものの5分ほどで全て終わり、長期戦を覚悟してたから逆に不安になるほど。

 

「え、車の一時輸入的な事は?保険は?」

 

と聞こうにも、「はい、次!!」の呼び声とともに出口に追いやられた。

 

とりあえず、車にもどり一応の車内チェックを受ける。

担当官はただ単に日本製品に興味があるらしく

チェックそっちのけで俺のiPhoneをいじってる。

 

まぁひとまずこれで無事カザフに入国できたわけだ。本当にほっとした。

 

国境からセメイまでの道は一見舗装されてるが所々ボッコリ穴があいてて

ちょっとでも外の景色に目をやると

うわっ!ってハンドルをきることになる。

 

ちなみに景色はロシア側と一緒で延々草原地帯が続いている。

カザフスタンっていうとごつごつとした岩肌ってイメージだが実際はちがうようだ。

 

19:00頃セメイに入り、久しぶりのホテルに入る。

久しぶりのシャワーを浴びれば、一気に疲れも吹っ飛ぶもんだ。

隆はやはり食欲がないらしいので、一人で飯を食いに近くのカフェへ。

 

 

食事も終わり、iPadでツイッターをしてると、

急に一人の女の子が俺のテーブルに座って来た。

 

なんだ?と思って話を聞いてると、どうやらこの近くの薬科大学にかよう女学生さん。

名前はデリカ。発音はちょっと違ったけどとにかく覚えやすい(笑)

カザフスタン人で、ロシアの大学にも留学してたとかで英語は話せるらしい。

 

しばらく話してると、何でカザフスタン、そしてセメイに来たのか聞かれたので

とりあえずアラル海の砂漠化を見てみたかった、

それにカザフスタンは近年の石油ブームで発展著しいんでしょ?と答えた。

 

そんな感じで適当に答えると

急にデリカは、怒り口調になって

「海外の人はいつもそう!石油、石油、石油!」

と言って、しばらくすると友達の席に帰っていってしまった。

 

あっけにとられる俺。

でも、妙に彼女のその言葉が心に引っかかった。

 

「確かに言われてみればそうかもしれない」

 

海外の国をみる時、どうしても自国との利害関係だけで捉えてしまう。

アラル海の環境問題、カスピ海の石油ブーム、ソ連時代の核実験の場という負の遺産

そんな偏った見方だけでカザフスタンを見ていたと気づかされた気がした。

 

直接そうは言わなかったものの

彼女もそんな我々が心底嫌だったのかもしれない。

 

「もっとありのままのカザフスタンをみてほしい」

ひょっとしたら、そう言いたかったのかもしれない。

そんな事を考えながら、その日はホテルへと引き上げた。

 

 

おやすみ。

 

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