結論から言うと、完全に風邪をひいた。原因は間違いなく昨晩の水シャワーにある。朝方は少し風邪っぽいかなという感じで、まあ薬を飲めば治るだろうと高をくくっていたが、三時間ほど運転すると頭がボーっとしてくる。運転を交代し暑い暑いとTシャツ一枚になるきいちに対し、僕はパーカーの上にダウンを着込んでおり、そのときようやく体の異変に気づいた。悪寒、発熱、腹痛、だるさ、関節痛、吐き気・・・やってしまった。
僕は普段あまり風邪を引く方ではないし、体を壊してもおかしくないほど働いた出国前もなんとか健康な状態を保っていた。ただし一度こじらせるとその威力は絶大で長引く。顔色は真っ青でげっそりと痩せ細る。この旅でもどちらかが病に服するのは時間の問題であったが、一ヶ月経った今僕が先手を打った。 外国で風邪に倒れることはなかなかつらい。車中泊ではなおさらだ。ひたすら寝るしかないのだがガタガタ道ではその振動を体全体で受け止めることになる。食欲は全くなかったが、きいちがクッキーを買ってきてくれたので一つだけ食べ、その後の記憶はない。