今日は次のトーゴへ向かう日。ようやくガーナを出る時がきたんだ。一馬君の帰国、マラリアでの入院、とにかく色々とあった国だっただけに、あまり良い記憶はないけど、それもまた思い出になるんだろう。
渋滞するアクラ市内を抜けると、あとは綺麗に舗装された幹線通りを、ずっと西へと走る。途中、「西アフリカでも最大規模のラグーン地帯」があるとガイドブックで見つけた。ラグーン?何だそれはと調べると、どうも湿地帯のことらしいので、早速寄ることにした。今日はそこでキャンプにしよう。
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そして、その場所に着いた、はずだ。
「あれっ?何もなくないか….」
今は乾季の真っ只中、どうやら水もないらしい。仕方が無いので、代わりに道の反対側に広がる浜辺へと出た。おぉ、さすがに壮観だ。もちろんほとんど誰もいない海岸は、今は俺らだけのもの。不思議なことに、ゴミに埋め尽くされた町中と違い、ここだけはゴミが一切落ちてない。あまりに綺麗なので、逆に違和感を覚えてしまう。浜辺がここまで削られる程の波だ、ゴミもすっかり流されてしまったのだろうか。そんな海と対峙してるだけ、足がすくみそうだ。そんなわけで、ここでテントを張るのも落ち着けない気がする。
さらに、ここにきてリカさんの体調が一気に悪化したらしい。ここは一気にトーゴに入って、安全な場所で休もう。すぐに出発した。
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国境にはギリギリ日の落ちる前に着いた。iPadでスライドショーを撮ってる俺らは、明るいうちじゃないと写真がとれないんだ。良かったよかった。
そこら辺にいる怪しい男たちに先導されるがまま、奥の事務所へ入って行く。これは後からお金を請求される、面倒くさいパターンのやつだ。あぁ、疲れてる今日は特にうんざりだ。
「俺たちの書類を返してくれ。俺らは自分たちで出来るから。」
「いーや。お前らは何も分かっちゃいない。ここは俺がいないと、何も事が進まないんだよ。まぁ、任せとけって」
「はぁ。返してくれなくてもいいけど、お金はあげないからね。」
「まぁまぁ、とりあえずだよ。」
確かに彼はできる奴だった。あり得ないほど複雑な出国手続きを、あちこちのオフィスをたらい回しにされながらも、何とか済ませた。でも、これ、多分自分でもできた。というか、ここまで何回国境には通ってると思うんだよ。そう説明しても、彼はいっこうに書類を返そうとしない。
「おいおい、本当に返してくれよ。本当にお金あげないからね!」
「まぁまぁ、そんなこと言わずにさ!」
もう我慢出来ない、強引に奪い取ったる!ふんっ!
男:「おい、何すんだよ!!」
俺:「だから、返せって言ってんだろ!ふざけんなよ!」
とりあえず奪い返すことには成功した。
しかし、ガーナの国境を抜け、隣のトーゴ国境の手続きにすら、奴はついてきた。うっとうしい。
男:「お前らは日本人だから、俺がいないと書類はもらえないぜ!だから任せろって言ってんだろ!」
俺:「嘘つけ!(でも、ここまでの経験上その可能性はあるな。大丈夫だろうか…)」
もう、互いにヒートアップ。
隣で見守るリカさんは、俺ら二人にドン引きしてる。
男:「そのメガネ吹っ飛ばすぞ!」
俺:「くそ、ボケがぁーーーー!(こいつ体デカイし、それはヤバイよ….)」
ついてくるそいつを無視して、手続きへ。そして、結局何も問題なく一瞬で入国書類はを手に入れた。驚く俺ら、気まずそうにする彼。これで決着は着いた。さぁトーゴへ入ろう。
そして車を出そうとした時だ、見るからに怪しげな警官がやってきて、駐車代を払えと言ってきた。あれっ、しかもさっきの奴が一緒だ!あいつめ、ろくでもないことを吹込みやがったな。
そのせいか、ただの賄賂要求なのに、いっこうに解放してくれない。くそ、もうとっくに日もくれてる。疲れも溜まってイライラする。しょうがない、払うしかないか。悪ボスの所へ向かった。
俺:「で、いくらなんですか?」
悪ボス:「ん〜、じゃあ◯◯だな。」
リカさん:「私はさっきあの人に払いました。(これは本当)」
悪ボス:「そうか。ならいい。お前らはどうなんだ?」
(あれ、これはまさか払ったことにすればいけるんじゃないか。でもバレたら…)
俺:「あ、え〜と、僕らもさっき払いました。」
悪ボス:「うむ、そうか。なら行って良い。」
よっしゃーー!さぁバレる前にゲートを向けよう。急ごう!すぐに3人とも車に乗り込み、なんとかゲートを通過した。後ろを振り返ることもない。あぁ、もううんざりだ。このことは忘れよう。
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そして、国境にはから数キロのところにある首都ロメに入った。道路沿いに出ていた飯や晩飯を食べる。はぁ、なんか最近イライラしすぎだな自分….
リカさん:「そうだよ。どいうか考え方を変えた方がいいんじゃない。これがこっちのやり方なんだから、いちいち怒っててもしょうがないでしょ」
最もすぎる意見に言葉もない。そうだな、それは分かってるんだけど、どうしても最近は…..
。でも、改善してくしかないな。これからは我慢がしよう。
夜はあまりに暑いうえに湿気がとんでもなかったので、安いホテルで宿泊。ふぅ〜今日も長い一日だった。おやすみ