ん、寒い?あまりに久しぶりの感覚に戸惑いながらも起床。しかしここは浜辺、全身がベタベタだ。それに全面メッシュのスケスケテントで寝たもんだから、夜風に喉をやられたらしい。まぁいい。
よく見ると、向こうの方で地元の人たちが引網をしている。アフリカではよく見る光景だが、朝からご苦労なことだ。りかさんが準備を整えるまで、少し砂浜を歩いてみよう。
テントからは見えなかったが、波打ち際までいくと、ガクッと段差になっていた。アフリカの波はやはり強いから、えぐり取られてしまったのかもしれない。ここでは何だか波すらも日本のものとは違い、怖くて近づき難い。ザッブーン…と引き込まれてしまいそうだよ。
8時には出発したと思う。首都のコトヌーまでは、およそ140kmだから、昼前には着くだろう。
きれいに舗装された道も、途中から工事中で、土砂道に変わった。至る所に中国語の看板や標識が見える。「安全〜〜」とあるからには、きっと中国の企業が工事を請け負っているのだろう。
道路沿いには中華料理店が軒を連ねる。ここにもまた中国人は進出しているのだ。いや、ここまで通ったどの国でも、中国の存在感はすごかった。ある程度の街にいると、周りを見渡せば、必ず中国語が目に飛び込んでくる。そして、出会うアジア人と言えば、100%中国人。韓国人はギニアで会ったサムソンの人くらいで、日本人なんてどこにもいやしない。まぁどっかにはいるんだろうけど、まだ会ってない。
しかも彼ら中国の人たちなんて、もうそこに住みついちゃってるわけだから、日本とは比べようもないわけ。まぁだから逆に、たいてい地元の人は中国人のことをよく思ってないらしい。
どこにいても「オー、ユー、チャイニーズ?」って声をかけられるから、「ノーノー、ジャパニーズ!!」って返すと、「ワオ!ジャパニーズはグッド!チャイニーズはバッド!」という答えがよくかえってくる。
そうかそうかと聞き流すけど、よ〜く考えてみると、もう日本人ってだけで、何か伝説上の人みたいになっちゃってるわけ。嬉しいんだけど、どこかやっぱり虚しい気もする。だってそんなに俺、好い人じゃないのにって思うわけ。ある時こんなことを言われた。
「なぁ、昔は日本製品ばっかりだったのに、今では中国のモノばっかりだよ。日本はどこに行ってしまったんだ??」と真顔で聞かれても、俺もそんなこと知らないよ。だから、へへへって言ってやり過ごす。
誰も見たこともないけど、いいイメージはある。でも誰も本当に会ったことがない。だからどんどんイメージがイメージを呼んで、いつの間にか、俺らは伝説上の人へ….なんてね。
日本人はいいやつなんだろ。日本製品は凄いんだろ。
もしここにいるのが、中国人じゃなくて日本人だとしたら、ひょっとしたら俺らは嫌われてるんじゃないか。少なくとも、好かれる自信なんて、ないぞ俺は。
ただのイメージに過ぎない「日本人は好い人像」なんて真っ平御免だと思いながらも、伝説上の人ってのも悪い気はしない。まぁ難しいところだ。どうでもいい。
………………………………………..
話がそれてしまった。そろそろコトヌーの街に入ろう。
結局街中に入ったのは、正午過ぎ。昼食を屋台の100円スパゲッティで済ませて、ホテルのネットで国境情報の最終確認。
これから一気に北上して、そこからナイジェリアに入るんだ。
メイン国境はここから海岸沿いに進んだところなんだけど、そこの噂が悪いうえに、もうそろそろこの暑さと湿気にうんざりしてるんだ!!!北上して快適な生活を送ろう。その悲願のために、俺らは北へのぼる。
途中で夜になったので、めちゃ不味い夕飯を食べて就寝。明日はついにナイジャリアだ。