“大使館”と聞けば日本人ならどこか官僚主義的で近寄り難いイメージをもつだろう。
しかしそれはあくまで日本の常識であって、実際は国によって少々趣が異なる。少なくともオムスクにあるカザフスタン大使館はなかなかのものだった。
まず、大使館内でさえ英語は一切通じない。そのため僕らの話せるロシア語といえば”こんにちは”、”ありがとう”そして”私は日本人です”だけなので 、その持ち札は瞬時に消滅する。なんとか伝えようとしてくれるのだがわからないものはわからない。しまいには私には分からないという内容を伝えるために”I know, I know!”とdon’tを省略するという致命的な欠陥構文でもって説明される始末。
また、一人しかいない大使が頻繁に姿を消す。そして2,30分して何事もなかったように現れ事務手続きを再開する。そのため狭い館内の混雑はなかなか解消されず決まって奇妙な二人の外国人は閉館ぎりぎりまで待たされる。
ただし悪いことばかりではない。結論から言うと当初は五日かかると言われたVISAの発行はわずか一日で達成された。理由はさっぱりわからないがおそらく大使が死ぬもの狂いで仕事をしたのだろう。そうに違いない。結果よければ全てよし!最後は満面の笑みで大使に別れを告げ、お世話になったオムスクを去る。その前に毎度お馴染みケバブを食べなくては。