2013年8月21日 林 季一郎

負の世界遺産「ポトシ銀山」の今

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若干、前後してしまいましたが、少し遡ってボリビアのポトシ銀山ツアーに参加しにいきます。かなり軽い気持ちで参加した僕らでしたが…

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◆8月13日 朝7時

集合まで少し時間があるが

隆に先に行ってると伝えて車を出る。

そう、今日はポトシ銀山内のツアーに3人で参加するんです。

 

ポトシ銀山。

 

うん、その言葉から僕が連想するのは、

昔のスペイン植民地時代の奴隷制の象徴といったところかな。

もちろん彼らの目当ては銀だった。

 

そして、16世紀から19世紀初頭までの実に300年間にわたって

いや、それ以降もかな?

ずっとここは西欧の富の源泉だったらしい。

 

で、その後はどうなったのだろう?

とうの昔に銀も枯渇して、今はゴーストタウンなのかな?

 

てっきりそうとばかり思っていた…サルタであけみさんの話を聞くまでは。

 

ポトシ銀山:
ここには現在も採掘中の鉱山があり、今なおスズなどの生産によってボリビア経済を支えている。しかし、そこで働く鉱山労働者は1日8時間ずつ3交代で、暗く、空気の淀んだ鉱山内でコカの葉をかみ、食事もせずにただただ重労働に耐えている。そうして得る給金は1日わずかUS$3にしかならない。

 

なんと!まだ人が中で働いているのか!

しかも、その様子を見るツアーがあるとはどういうことだろうか?

 

実際に今、過酷な鉱山内で働いている人を俺らが観光気分で見に行く…

なんてめちゃくちゃなツアーだ…と思いながらも

これは一度見てみたい!という気持ちは抑えられなかった。

 

少し街をぶらぶらしてから

姉貴が泊まっているホテルのロビーでガイドを待つ。

 

8:30。予想に反して時間きっかりにガイドのジョニーが登場。

そのまま、服の準備に入る。

 

やはり、観光ツアーとは言っても、やはり本物の坑道に入るのだから

それなりの装備が必要なのだね。

 

 

「それにしても汚いなぁ~w」

まだこの時の気持ちは、そんな感じだった。

 

そして、バスに乗って急な斜面をどんどん鉱山の方へ登っていく。

気分はもう探検家みたいで、ウキウキ。

 

 

ボリビアには、日本の中古車がいっぱい走ってる。

しかも、塗装とかステッカーとかそのままに(笑)

 

 

途中でバスが止まった。

トイレ休憩かと思ってたら、どうも違うらしい。

 

ジョニー:「ヘイ、みんな!ここで鉱山労働者のために、お土産を買ってくよー!」

 

「ん?どういうことだ?」

通りを見渡すと、ずらっと鉱山労働者用の売店が並んでいる。

でも、そこにいるのは、世界中から集まってきたツアー客ばかり。

 

「何だよこれ…」

結局、完全な観光用の鉱山ツアーなのか。

これじゃあ、どうせ中で働いてる人たちもツアーに見せる用だったりするのかな…

 

でも、ジョニーの説明が始まると

どうも、これは本当にすごい所にやってきてしまった気がしてきた….

 

 

まず、いきなり、マジのダイナマイト出てきた!

 

 

ジョニー:「これをこうやって、ここに点火して、あとはドン!だぜ~w」

(なんてテキトーな説明…それに訛った英語が聞き取り辛いよ…)

 

さらに、コカの葉もでてきたよ。

 

 

ジョニー:「ほら、食ってみな」

俺:「え、食べるの…w」

 

パク。

 

うん、普通に苦いだけだね。

これを食べると、休憩も食事もなくて働き続けるらしい。

麻薬効果、恐ろしい…

 

 

最後に出てきたのが、まさかの

アルコール100%(!)の飲み物!

 

 

え、うそでしょ…こんなの飲んだら死んでしまうわ。

でも、これを鉱山の中では普通に飲むっていう…

そうでもしなきゃ、やってけない程キツイのかな。

 

何だか中に入る前から憂鬱になってきたぞ…

 

そして、お土産を買った俺らは鉱山に向かう。

 

 

観光ツアーとは思えない汚い道を進んでく。

 

 

そして、坑道の入口に到着。

ここで少しする待機らしい。

 

 

何やら鉱山労働者たちが集まって朝会のようなことをやっている。

ん???でも、よく見るとみんな……

 

 

コカの葉をむさぼり食ってる!!

 

 

仲間と談笑する人、一人静かに休む人

その誰もかれもが、無心にコカの葉を口に運んでる。

 

コカの葉は、そのまま飲み込まず

ほっぺたの内側にため込んでいくらしく

だから、みんなほっぺたをパンパンにしている。

 

え、これマジ?

何なんだこの異様な光景は…

 

そして、その輪の中に

何故か俺らのガイドのジミーもちゃっかり入ってる!

もちろん、コカの葉食いまくってるよ!(笑)

 

 

その間、延々ジョニーにほったらかしにされる俺ら。

他のツアーの人たちは、ガイドの人が付きっきりで説明とかしてるのに…

 

 

他のツアー客は、どんどん中に入っていく。

それでも俺らはほったらかし…

おい、大丈夫か俺らのガイド。やる気なさすぎじゃないか…笑

 

それにしても、異様な光景だ。

リアルな鉱山労働の現場に外国人ツアー客。

 

埃まみれの労働者の人たちと

真新しい蛍光色に身を包んだツアー客

 

方や、手にはコカの葉とダイナマイト

方や、手にはNIKKONの一眼レフ

 

あまりに対照的だ。

 

(ちなみに、俺らだけ埃まみれの服…ツアー選びミスったかなw)

 

 

もう、他のツアーが全部中に入って少したったころ

ようやくジョニーが重い腰を上げてこちらにやってきた。

 

ジョニー:「おい、行くぞ!」

 

そんな感じの手招きをしてきたので

俺らは後ろについていく。いよいよ坑道に入る。

 

 

空気を送りこむ線が、無造作に奥へと続いてる。

 

 

入口から50mも入ると

自分のヘッドライトがなければ何も見えないほど暗い。

 

 

中は思った以上に汚い。

もはや廃坑なのではと思える程で

近代的な鉱山とは到底思えない。

 

それに何だこの周り一面にこびり付いたヤバそうなやつは!!

 

姉貴:「ジョニー、これは何?」

ジョニー:「あぁ、アスベストとか鉛とかだよ。」

 

 

まさかの有毒物質。

 

 

え、ていうか俺ら素手じゃん…

それで、さっきから直に触ってるんですけど…!!

 

狭い所を登ったり下りたりするのに、触らざるを得ない!

まさに日本では考えられない安全管理!さすがボリビアのツアー…

 

 

うわぁ~、これもなんかヤバそうだなぁ~

 

 

ジョニー:「あ、それ有毒だから気を付けてな!」

俺:「ぁ、はぃ….」

 

よーく見ると、ヘッドライトの光が

空気中を漂う、細かい有毒そうな粉塵を照らし出してる。

確実に俺ら寿命縮めてる…泣

 

一応、簡単なマスクしてるけど

意味あるんだろうか、これ。

それでも、ジョニーも、中の他の労働者の誰もマスクすらしていない。

 

 

途中ところどころで、実際にここで働く人の話を聞く機会があって

その度に俺らが持ってきたお土産を渡していくんだ。

 

たくさん持ってきたアルコール100%も

オレンジジュースで少し割って、どんどん回し飲みされてく。

 

まぁ、飲んでるのはほぼガイドのジョニーだけどね(笑)!

 

ジョニー:「うめぇ~!こんなのジュースだぜー!どうだお前らも飲むか~」

と言うたびに、飲んだふりをして返す。それの繰り返し…

 

 

この人、マジで大丈夫か…

と不安になると同時に、一つの疑問がうかんできた。

 

そう、他のツアーのガイドと違って

ジョニーがあまりにもここの労働者と仲がいい。

 

外でもずっと談笑していたし、

中に入っても、そこら中で会っては止まって話しての繰り返し。

それに何より、態度というか、その粗放な感じの雰囲気が他のガイドと違うのだ…

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

坑道に入ってすでに2時間が経過している。

他のツアー客はもうとっくに外に出てしまった。

俺ら4人だけが、未だに坑道内を奥へ奥へと入っていく。

 

空気も薄い、そして何より汚い。

気分も少し悪くなってきた。

それでも、酒も入って絶好調のジョニーは奥へ。

 

 

もういいから戻りたい…

そう思い始めていたころだ。

 

奥まったところに、突然不気味や石像が現れた…

 

 

ここの鉱山の守り神のようなものらしいが、

あまりに不気味なその容姿。ぞっとする

 

 

ちなみに、これはスペインが入ってきたから以降のもので、

本来、インカの人々には、「パチャママ」という大地の神に祈る伝統があった。

 

だから、今では、この石像への供え物に加えて、

アルコールを飲むときにも、まずは、地面に少し垂らしてから、自分が飲むのだそうだ。

まずはパチャママへ、ということのようだ。

 

そこへ、またしても一人の労働者が呼ばれてやってきた。

 

息も絶え絶えでやってきた彼

ついさっきまでキツイ仕事をしていたことが見て取れる。

 

そんな彼、ここで働き始めて13年になるそうだ。

ここで働く人たちは、基本的に家族代々そうらしい。

 

ちなみに、給料は一日5~8時間働いて10ドル。

 

さらにビックリすることに、

爆破に使うダイナマイト代、それに中への空気を送り込む代も全て

各自が負担するという!

 

よく知らないが、今の時代にそんなことがあり得るのだろうか。

ここで行われているのは、素人目に見ても

あまりに、人力に頼った非効率な現場な気がする。

 

そんな彼の話を聞いていたら、たまたまこの間見た動画を思い出した。

少し内容な違うかもしれないけど、どちらもあまりにショッキングな内容。

 

【現代の奴隷制度といかに戦うか】(ケビン・ベールズ、TED)

 

そして、またしてもジョニーと彼は仲がいいことが気になった。

一緒のグループのオランダから来た子も、そう思ってたのだろう。

 

ついに、その疑問をぶつけた。

オランダの子:「ジョニーは、昔ここで働いていたの…?」

 

 

答えるまでに少し間があいて

ジョニー:「…あぁ、そうさ。」

 

 

やはり、そうだったのか。

彼は元労働者としてここで、なんと15歳から働いていたのだ!

 

そして、それまでふざけてたジョニーが少しずつ語りはじめた。

 

 

ジョニー:

「俺も小さいころからここで働いていたんだ。毎日にように、朝叩き起こされたはここに来た。

そして、観光客と接する中で少しずつ英語を覚えていった。

で、今はガイドをやってるってわけさ。」

 

 

そうだったのか。

これで、全て納得がいった。

 

と同時に、何とも言いようのない居心地の悪さを感じた。

自分がここにいることが、本当はいけないことのように思えてきた。

 

すでに過去のことだと思っていたこのような不平等な構造が、

形を変えてはいるものの、今もここでは続いていてるのだ。

 

不平等な世界に自分がいて、その富める側に自分が属し、

その社会の一旦を自分も担っていることを、まざまざと見せつけられてる気がする。

 

ここにあるのは共感でも、シンパシーでもない。

自分にあるのは、ただ一方的な同情にすぎないと思う。

 

いつでも帰れる安全な場所をがある自分なのだから。

もちろん、こんな感覚は日本では味わうことはなかった。

 

思い返せば、ニュースで報じられるこういった話は、いつも他人事だ。

それに、学校で学んだ歴史も同じで、あまりに遠く離れたことを話しているので

それはもう過ぎ去った事だと感じてしまう。

 

「昔は悪かった人類も、今では反省してうまくやっているんだな~」

なんてね。。。

 

でも、果たしてそうなのかな。

果たしてそんなに単純なのものなのかな。

 

もしかしたら、僕らに見えないように巧妙に形を変えているだけで

実際のところは昔も今も何も変わってないのじゃないか。

ここにいると、そう考えさせられてしまう。

 

 

来る前に一番聞きたかったこと

「ここに観光気分でくる、俺らのことはどう思ってますか?」

もう、そんなことが聞けるような雰囲気ではなかった。

 

それに、もうそんなことはどうでもよかった。

それよりも今は、一刻も早くここを出たかった。

ここを出て、街に戻って、元通りの日常を取り戻したい。

 

「今いるのは現実じゃない!」

そう信じたかったのかもしれない。

 

そして、ようやく出口に向かうことになった。

若干、意識がもうろうとして、ジョニーについていくのがやっとだ。

空気が薄いせいもあるけど、何だか、精神的にもどっと疲れた。

 

 

そして、光が見えた。出口だ。

 

 

「やったぁ、ようやく終わった..」

そう思う自分がいた。

 

 

バスに戻ってみると

途中で外に出て行ったフランス人カップルが

疲れ切って、座席にへたりこんでいた。

 

帰り道の途中で、景色がいい所で写真タイムになった。

今さっきまでいた鉱山が一望できる。

 

 

「もう、あそこには戻ることは一生ないだろうな。」

それほどまでに、自分たちの生きている世界とは隔絶された場所な気がした。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

集合場所だったホステルに戻った。

今日はさすがに車で寝る気にもなれなかったので

ここで泊まることにした。

 

部屋に入ると、2人部屋なのにベッドが3つもあった。

まぁ、どうでもいい。そのまま隆は死んだように眠り始めた。

俺も少しだけ作業をしてからベッドに入った。

 

午後6時。早い一日が終わった。

 

※ポトシ鉱山内の様子を動画でどうぞ。

【旅を追う】No.34「世界遺産、ポトシ銀山の坑内へ」

 

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