2013年3月29日 林 季一郎

未来都市キンシャサと中国人ホテルと僕ら

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朝一でコンゴ川を渡ろうと、渡航地点までやってきた。聞いていた通り、ここには秩序がある。

車で乗り込み、30分ほどで対岸についた。料金も聞いていたとおり、車1500円(人代は無料?)だ。やはり、車の縦断者はこの迂回ルートを取った方がいい気がする。

そこから先は綺麗にならされたダートだから、80kmくらいでびゅーーんと飛ばす飛ばす。

夕方に5時頃、ついに首都キンシャサに入る。そこは想像をはるかに超える近未来都市だった。

郊外は、失礼な言い方だが、ゴミの上に人が生活しているというほど、ゴミが散乱していたのが印象的だ。これは、これまで通ったアフリカの国の中でも見られない光景だと思う。

しかし、その光景は、街のある一点を境に一変する。本当に世界が180°変わると言ってもいい。

それまでガタガタでごちゃごちゃしていた道が、突然片側4車線の真新しく舗装されたスーパーハイウェイになるのだ。それと同時に、道路脇のバラック小屋風の建物は消え、近代的なビル群に取って代わる。目の前に信号が、それも日本にもないような、電光パネル式!が現れた時はビビった。危うく、無視して通り過ぎるところだった…

これが世界でも最も援助がなされているというキンシャサか。それにしても郊外とのあの格差は酷すぎないか。リカさんも衝撃を受けたと言っている。

晩飯を適当にすませ、夜の寝床を探していると、「中国人の、中国人による、中国人のためのホテル」があると聞いたので、早速向かう。どういうことだろうか

遠目からも、そのど派手さは一際目立っていた。なんという豪華な建物だ。40階くらいはあるだろう。内装も、これまでのヒルトンやシェラトンとも比べものにならない華やかで高級感あふれる作りになっている。ここは本当にアフリカか…

早速、駄目元で駐車場で寝ていいか聞くと、すんなりOKがでた。こんな辺境の地にいると、同じアジアの中国人の親近感はなかなかのものがある。

わざわざここの総支配人も出てきてくれて、「私も若い頃は、日本のホテルで修行したんです。アリガトウ」と日本語で話すのには、少し感動した。なんだか自分が褒められているようで、本当に嬉しかった。

思えば、これまでも中国人が作った道路を通ってきて、今はそのホテルにお世話になっている。色んな事情があるのかもしれないが、俺らは感謝こそすれ、彼らに文句なんてなにもない。

一番悔しいのは、彼らとコミュニケーションが取れないこと。同じアジアの隣国にも関わらず、そしてここまで深い関係にある両国が、コミュニケーションを取れないのは、もはや異常じゃないか。言葉の壁が、どれだけお互いの誤解を生み、両者を分断していることか。

不遜な言い方を承知で言うが、日本はあまりに世界から隔絶されていると思う。言葉の壁があまりにも大きすぎる。

日本にいる時は、「ネット先進国の日本じゃないか、いまや日本にいながらにして、世界中のことが分かるってもんだよ」と真剣に思っていた。今では、それが間違っていたのではと思う。

そもそもネットにある日本語の情報はあまりに少ない。車旅の情報を調べたところで、日本語の情報なんて一つたりとも出てきやしない。それが英語になると、「えっこんなことまで!」という細かい情報がどんどん出てくる。リカさんに情報の調べ方を教えてもらったのだが、これには驚いた。

でも、もっと驚くのは、一番知りたい情報が載ってるのが、ドイツ語の掲示板だということだ。これはもうさすがに手におえないので、諦めるより仕方が無い。だから、ここで出会う欧米人たちと
俺らとは情報の格差が歴然としている。そして、情報がない故に、不安を抱いたり、苦労したりする俺らとは違い、情報を持っている彼らは、余裕しゃくしゃくといった感じでアフリカ縦断に来てるもんだから、初めは少なからずカルチャーショックを受けた。

そう考えると、大学でもう少しまじめに第二外国語に取り組んでおけばと悔いる。と同時に、あの無駄な時間はなんだったのかと我ながら憤りを覚える。

大学1年のフランス語の最初の授業で担当教員がこう言ったのを今でも覚えている。

「どうせ君たちは、フランス語をちゃんと習得するつもりはないと思いますが、就職のためにも単位はしっかりと取った方がいいですよ。」

こんなことを海外の学生が聞いたらどう思うだろうか。バカな!アホかと思われそうで恥ずかしい。

何も勉強していない大学時代に、少なくとも語学だけでもちゃんとやれば良かったと思う。英語とスペイン語と中国語くらいできてもいいんじゃないかと今は思う。もちろん自分は英語すら不自由だし、調子に乗っていることも分かってる。けれど、このままではヤバイかもという焦りがある。

日本という何かと恵まれている国で生まれて良かったと思っていたのが、あれ?実は島国っていう圧倒的に不利な場所で育ってしまったのではないか….という漠然とした不安かもしれない。

日本では、良くも悪くも、やはり上のいうことに従う、その代わり上は僕らを守ってくれる、という風潮があると思う。でもここでは逆かもしれない。大統領は自分の私腹を肥やすのに必死だし、しまいには警察=悪い敵なんだから。ここでは誰も守ってはくれない。自分の身は自分で守るというのが常識らしい。

でも、後者の方が本来人間として自然なのではないかと最近思うことがある。そもそも、お上がいつも正しい訳じゃないということを、僕ら日本人は何度か経験しているはずだ。1867年の明治維新、1945年の敗戦、どちらも最後まで上の言うことを信じていた人ほど…(失礼な言い方をしてごめんなさい!)

逆にいえば、僕らは、本当に事態が深刻になるまで、気づかないのかもしれない。外国語なんて話せなくても日本で働けば大丈夫でしょ!と思いたい自分と、でも、ある日突然、自分よりずっと優秀な海外の人たちと仕事で戦わなければならない舞台に突然放り出されたら…という不安はどうしても拭い去れない。おやすみ!

(恥ずかしいこと書いてしまった….明日になったら消してるかも)

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