2013年1月25日 林 季一郎

旅が苦痛になるときがある

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今日は何日なんだろうか。またスケジュールが遅れていくなぁ…
薄暗い病室のベッドの中でずっとうずくまってるものだから、よく分からない。
まぁ今は何も考えなくてもいいかと思い直して、眠くも無いのにまたベッドに横になる。

それを何回か繰り返したと思う。体調はそれほど悪くはないのに、気分はひどく沈んでいる。
無為に時間が過ぎていく事への焦り、しゅうもない自分自身へのいら立ち。もう少し俺は頑張れるんじゃないかと思っていたが、どうもそうではないことへの失望。

マラリアなんて問題じゃない。自分のわがままのせいでスケジュールが遅れて、合流を楽しみにしていたパトロンさんが合流出来なくなってしまった。怒られるのも当然だ。善意で協賛して頂いているのに、その方への対応もちゃんと出来ていない。

「暑さと湿気でろくに夜も寝れないんじゃ仕方がないじゃないか」と自分で言い訳をしても、それこそしょうがない。そういえば、いつ頃からだろうか。旅が苦痛になっていたのは。

アフリカという環境だけが原因ではないはず。だって、猛暑のウズベキスタンは最高にワクワクしていた。
違うことといえば、アフリカでは「ビザ・道路状況・国境超えのポイント」などを事前にいちいち調べていかなきゃいけないことくらい。いつも情報収集!情報収集!ともう強迫観念みたいになってるから、旅を楽しめない。

これからは、もっと気楽にいこう。そう思ったらやる気が湧いてくるような気がするんだ。

まぁ、そんなことを考えていたら、急に医者があわただしく部屋に入ってきた。
「さぁ、もう大丈夫だ!退院だ!」

へ…?さっきは、もう少し治療が必要だ、とか言ってたのに何で急に退院なんだ?

そうは思っても、言われるがままに退院の手続きを進められる。
体調もよくないし、今日だけでもここに泊りたいものだが、どうやら隣のベッドの同じくマラリアの人も退院させられるらしい。
彼なんて目に見えて体調がまだ悪そうだ。まぁ俺はそれよりはマシか。

というより、なんなんだよもう!ここの医者は全く信用できないし、もう何がなんなんだか。

結局、退院した。
とは言っても、隆達もいないし、一人寂しく、タクシーで拠点のモールへ帰る。
戻ると隆がぽつ~んとベンチに座っていた。りかさんは、「荷物を全部盗まれた!金も無いし、今すぐ必要な薬も買えない!」という人を助けに病院まで行っているらしい。やはり、アフリカはよく分からないことが多い。さっきまでいた病院の方がよっぽど現実味がしてくる。

夜は、悲惨にも、「熱い、むしむし、蚊だらけ」というマラリア中の身としては笑える車内コンディションで就寝。
いや、寝れるわけがないか…

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