2012年7月2日 林 季一郎

グルジアへの道中

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9:17起床。 すぐにディーラーへ向かうも、デリカは扱ってないから他へ行けと冷たいくあしらわれた。さてどうしたものか。もう他に三菱ディーラーはないみたいだし、街に戻って普通の修理屋をさがすのも面倒だ。まぁ、最悪トルコまでは大丈夫だろ、よしもうグルジアへ行こう!

そして、バクーから南にのびるハイウェイにのった。走り始めて15分程たったころ、やはりこのまま車を見てもらわずに行くのはまずい気がしてきた。車底からする異音ますます激しくなってる気がするし、なによりエンジンのかかり具合が心配だ。車について何も分からないからこそ慎重にいくべきだ。そう冷静になってみたら、どう考えても一旦ここは戻るべきだな。面倒くささと、先を急ぎたいという気持ちとの葛藤の末、街へ引き返した。

しかし、結局デリカのパーツがないので直すことは出来なかった。それにしてもパーツがある一番近い国がドバイと言われるとは…それでも底からの異音の原因が、フロントのロアアームのブッシュだというのは教えてもらえたので良かったとしよう。この間の荷物で送ってもらった車の本のお陰で、ほうほうそうですか~ブッシュですか~みたいに少しいきっといたが、何の事だかよくは知らん。

街をでてカスピ海に沿って南へ向う。左手に広がる海は太陽の光で眩しく輝き、その手前の砂地には、油井がいくつも林立している。石油地帯だそうだ。右手には、ごつごつした岩肌が続き、さらにその向側には土色のなだらかな丘が連なっている。海と乾燥した大地、余り似つかない光景だ。それでも、昔、とは言っても紀元前2万年前とかの話だが、その頃はカスピ海の水位も今よりも高く、大地は緑の覆われていたという。

そして、その頃の遺跡が残っているのだ。カスピ海に沿ってさらに南下し、途中、今度は一転内陸へと入っていく。遠くに岩山が見えてきた。ここに、一万年も前に生活していた人たちの残した洞窟や岩に描かれた絵があるそうだ。山に入る手前に資料館があるので説明を読んでから、洞窟を回った。教科書でみたフランスのラスコーの壁絵のようなものが、いくつもある。というか、知らなかったけど、ここも世界遺産だそうだ。確かにすごい。ちょうど、その頃の事の本をたまたま読んでたもんだから、いきなり目の前に現れると、おーすげぇ、これか~となる。

その後は、泥をはき続ける泥火山に寄る。

あとはグルジアとの国境を目指しひたすら西へ車を走らせる。国境まで残り60km余り。20:30になり、あたりも暗くなり始めている。その瞬間、パシャ!暗闇に閃光がはしった。くそ、スピード違反を監視カメラにとられたのだ。これまでの国と違って、ここじゃあ監視カメラが自動で撮影するみたいだ。で違反した車は、その先のチェックポイントで御用という仕組みだ。

車を脇に止め、警察官の後ろを事務所へついていく。まぁ、どうせ言葉が分からないふりをすればいいんだから。中に入ると他に三人の警察官がモニターを前に座っている。夜だからか、他に違反した人はいないようだ。早速、俺への尋問が始まる。

とりあえずスピード違反らしく、担当者がせっせと書類を記入していく。あれっ?いつもと違うぞ。中央アジアの警察は書類書くのを面倒くさがって賄賂要求してきたのに。分からないふりも通じず、記入も終わってしまった。チケットみたいなのも渡され、これで罰金を払いなさいと言われる。まずい。そういや隆がこの国の警察は違うって言ってたな。

その時、横にいた警官がちゃちゃをいれてきた。「300ドル払えば見過ごしてやるよ~」と。分からないふりを続ける。警官の機嫌が悪くなり始め、ついに一人ブチ切れ怒鳴りだす。向こうも痺れをきらし、また他の警官が金額が100ドルに下げる。さらに萎縮した風に分からないふりを続けると、英語を話せる人に電話で通訳させることになり、電話を渡される。まずい。

とりあえず、相手も分からないような意味不明な英語をまくしたてた挙句、警官に「この電話の人全然英語理解してないですよー」と電話を返す。既に事務所に入ってから45分以上経過している。二人目の警官がぶちきれる。しかし、一向に開放される気配がない。どうしようか。分からないふり作戦はやめだ、そうだ、さっきの300ドルの賄賂要求の事を盾にしよう。

「あの、最初は300ドルなのに、何で100ドルに下がったんですか?もしかして賄賂ですか?」みたいに丁寧に聞いてみた。すると、相手の顔色が急に変わった。あれ?これはひょっとして。追い打ちをかけるように「念のため、あなたの名前を教えて下さい。」完全に動揺し出した。名前も教えてくれない。よし、今しかない!今度はこっちがブチ切れる「なんでコロコロ罰金の額が変わるんだ!名前を教えろよ!」急に相手も「300ドルなんて言ってない。

ほら、そのチケットを見てみろよ、10ドルとしかかいてないだろ」おいおいおい、100ドルも嘘だったのかよ…「ふざけるな!!!証拠があるだろ、ほらここに300ドルって書いた跡があるじゃねぇか!写メで撮らせてもらうからな。」「やめろ!それはダメだ!」今度は警察官同士でもめだした。何でお前は300ドルって書いたんだよ!その紙あっちにやっとけ!みたいに。

事務所の中は罵声が飛び交う、もはや収拾がつかない状態に。この時点で、俺のことはそっちのけ。ついにパスポートを返してもらい解放された。彼らの気が変わらないうちに逃走だ。車へ走る走る。後ろではまだ警官同士の内輪モメが続いているようだ。まったく…

22:30。捕まってから実に1時間半も経っていた。隆も待ちくたびれた様子。さあ、グルジアへいこう。01:30無事グルジアに入ってところで車を止め寝る。まったく、ここのところ疲れる事ばかりでうんざりする。心も荒んでいく。旅なんて、いい事だけじゃない。

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