2012年6月21日 林 季一郎

強制帰国の危機!

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7:30起床、さっと布団から出て顔を洗いに行く。

もう慣れたもんだ。

さっぱりして中庭に戻ると、お母さんが朝ごはんを運んできてくれた。

 

(今は、ウズベクの友人宅に居候させてもらってる)

 

さぁ、今日は勝負のビザ延長だ。

いや、というより、これで出来なかったら全てが終る。

 

(次の国のビザが取れる前に、ウズベクの滞在ビザが切れそうなんだ)

 

隆と二人で、これで三度目となる空港へ向う。

通り慣れた通路を事務所めがけて一直線に向う。

二人とも無言だ。

 

部屋の前までくると、トントンとドアを叩いて中に入る。

苛立ちもあえて隠さず、どすどすと奥に入っていく。

昨日の職員が待ち構えていた。

 

俺:「さぁ、昨日言ったとおりボスと話をさせて下さい。」

担当:「わかったよ。ちょっと待ってなさい」

 

(あれ?今日はやけにすんなり通してくれるな…)

 

男は部屋を出てどこかへ行き、10分程で戻ってきた。

「こっちだ。ついて来なさい。」と言う。

 

しぶしぶ後を追って、建物の奥の方へと入って行く。

通路の一番奥のドアの前で立ち止まった男は

緊張した面持ちで中にはいっていく。俺らも後に続く。

 

重鎮だぞ~と言わんばかりの中年男がでっぷりと椅子に腰掛けていた。

制服の肩についてるストライプの本数からすると中々のお偉いさんのようだ。

要するにこの男がボスなわけだ。

 

一緒にきた職員が何やら事情を説明してくれてるらしいのだが

どうもボスの表情からして雲行きが怪しい。

 

そして、答えはやっぱりノー!だと言う。

 

昨日と同じで、「入院などの特別な理由がない限り、延長は不可」ということらしい。

しかし、それでは俺らはどうしようもないんだ…

 

いや待ってくれ!そんな簡単には引き下がれないよ!

お願いだから、何とかならないの?

 

職員も申し訳なさそうに「無理なんだ…」と言って、部屋を出ようとする。

 

いや、ちょ待って!

これじゃ埒があかない、直接ボスに訴えよう。

 

そして、おそるおそる聞いてみた。

もう最後の手段だ。

 

 

「お金で解決出来ないんですか?」

 

(少し間が空いたのち…)

 

ボス:「それでもノーだ。」

 

ダメなものはダメだと言う。

何だよ、こんな時だけルール、ルールって!

いつも汚職と賄賂ばっかりのくせに!

 

そう言ってやりたい気持ちをどうにか堪える。

聞けば、最近の中国人旅行者の行いが悪いから、ビザ延長を許可しづらくなってるという。

いや俺ら日本人ですけど…

 

はぁ~、これはもう旅行会社に頼むしかなさそうだ。

少しお金はかかるけど、俺らが個人でやるのはもう無理だ。

 

そう思い、空港内の旅行会社の事務所へ行くと

窓口のおじさんが、「そういうことなら俺に任しておけ!」と。

 

おぉ、頼もしい。

 

で、そのままついて来いと言うから、ついてくと…

 

(ん?ここさっき通った通路だけど…)

 

(見覚えのあるドアの中へ入っていき…)

 

そして、また目の前にボス(笑)

 

だから、ここはさっきもう来たって!

 

一応、おじさんの実力に期待して中に入るも案の定だめ。

だろうね。5分前にも言われたから。

 

結局おじさんの旅行会社では出来ないと言うことで

市内にあるホテル内にある旅行会社を紹介してもらい、急いで向う。

 

30分後、そのホテルに着いた。

事務所の中に入ると感じの良さそうな女性が話を事前に聞いてくれていたらしく

親切に対応してくれた。それで今から役所に詳細を聞きに行ってくるから

1時間後にまた来てくれという。

 

よし、これで何とかなりそうだ。良かった良かった。

さて飯でも食いにいくかな。

 

今日はこの後、念願のウズベキスタンサッカーをみに行くんだ。

唯一の日本人がプレーしてるって聞いてたから結構楽しみ。

飯を済ませてまた事務所へ戻る。

 

役所に行った女性が帰るまでしばしの間、他の職員と雑談。

 

「えー!あなた達日本から車で来たの!?」

というお決まりのやり取りで時間をつぶす。

 

壁に貼ってあった世界地図を使って

「ここは大変だったんですよ~」とドヤ顔で説明してると

役所に行っていた女性が帰ってきた。

 

お、これでようやく延長手続きができるぞ。

そう思った、次の瞬間

俺らは絶望のどん底に、突き落とされることになる…

 

俺:「どうでしたか?結局、何の書類が必要ですかね?」

 

女性:「ごめんなさい…」

 

 

 

 

俺:「え、どういうことですか?もう大丈夫だからって話じゃなかったんですか?」

 

女性:

「それがね、ビザの延長をするにしても3日はかかってしまうらしいの。

あなた達の今のビザが24日まででしょ、だから間に合わないって。

昨日来てくれてたら間に合ったんだけど。本当に残念だわ。」

 

 

(え、冗談だよね…www)

 

 

一旦、冷静に状況を整理してみた。

 

まず現状、この次のどの国のビザもまだ取れてない。

よって、カザフスタンに戻るしかない道はない

 

しかし…

 

そこから再びアラル海の方まで

いや、そこからまたさらに1000キロ以上も砂漠を走ることになる。

アラル海までですら、あの壮絶な悪路との闘いだったのに、その先道なんてあるのかよ…

 

あまりにも厳しいこの現実に対して

何と答えたらいいのか、言葉が出ない。

二人して、しばらく途方に暮れてしまった。

 

ついさっきまでの安堵の気持ちもどこかに吹き飛ぶ。

 

あぁ、もう駄目だぁ~~~~!

 

そんな時…

 

さっきまで見ていた世界地図が脳裏に蘇ってきた。

 

おい、待てよ!

まだ選択肢はあるかも…

 

急いで、さっきの世界地図のところへ。

 

やっぱりだ!

ウズベキスタンの西ってカザフと国境接してる!

そこを抜けられたら…

引き返す必要はないし、カスピ海まで最短距離になる

 

そこに、先ほどの女性が割って入ってきた。

 

女性:「え、そこを行くんですか…」

 

俺:「え、これって、飛ばせば滞在期限の3日以内で抜けられますよね?」

 

女性:「ん~、そしたら、今すぐ出発しないと間に合わないわ…

 

俺:「え…」

 

大丈夫だろうか?何かあったら一発アウトの危険な賭けじゃないだろうか?

そんなリスクを負うよりかは、カザフに戻って、悪路を行った方がいいんじゃないか?

 

いや、こっちで行こう。

 

その場で、サマルカンド、ブハラ、ヌクスと主要な通過都市までかかる時間をリストにしてもらう。

しかしそれでも、ヌクス以西の数百キロの砂漠地帯は、彼らも検討がつかないようだ。

 

でも、この期に及んで迷ってる暇はない。

よし、今から街を出よう。

 

女性:

「成功を祈ってるわ。ハイこれ。

心配だから、もし無事に出国できたらここに連絡を頂戴ね。」

 

事務所を後にし、急いで居候中のドストンの家へ戻る。

もう全ての予定はキャンセだ。

今日のサッカー観戦もなし。まだ作製途中のタシケントスライドショーもなしだ。

 

でも、これだけお世話になった石村先生達に挨拶出来ない…

日本語学科の学生の皆とも、このままお礼も言えずにお別れか…

 

「くそ!もっとちゃんと計画的に動いていれば、こんなことには…」

 

この一ヶ月間、本当にお世話になったみんな

本当に無念で、何より申し訳ない。

 

降りだした雨が、フロントガラスを強く打ち始めた。

 

ドストンの家に着き、急いで支度を始めると

心配したドストンが出てきたので事情を説明する。

家族の人たち、近所の子達も総出で雨の中を、出発の手伝いをしてくれた。

 

石村先生に渡す予定だった日本からのお土産をハサンに渡してもらうべく、手紙をのこす。

雨の中、隆が急いで書いた。

よし、これで準備はできた。

 

帰ってきてから15分も経っていないだろう。

とにかく一刻も早くここを出なければいけないのだから。

 

最後にみんなに挨拶をしようとすると、ドストンのお母さんの姿が見えない。

どうしたのだろうか。

 

家の中に探しにいくと、手にジャムの瓶を二つ抱えながら奥から出てきた。

お土産にくれるという…

 

何とお礼を言ったらいいのか、全く言葉が出ない。

考えてみれば、いきなり来た日本人を快く1週間も泊めて下さったうえに

毎日ご飯までご馳走になったのだ。

 

感謝の気持ちを伝えようとする前から、お母さんは涙ぐみ、俺らまで泣きそうだ。

 

この一週間、いやタシケントでの一ヶ月がふいに思い出され

なんと俺らは恵まれていたか。

 

本来は数日で抜ける予定だったこの街で

学生のみんなをはじめ、本当に色々な方に囲まれ本当に充実した時間を過ごすことができた。

 

お母さんは、「私達の事を忘れないでね」と言う。

 

忘れるはずがない。

ここでの時間はそれだけ俺らの記憶に深く刻まれている。

 

ウズベキスタン。

来る前はタジキスタンとの違いも分からなかったのに。

それでも「また絶対に来てね」と言うお母さんの言葉には何も答えることが出来なかった。

 

日本からここまでの距離を考えれば

「ハイ」とは簡単には言えない。

ぎこちない笑顔を作るのが精一杯だった。

 

さようなら皆さん!本当に有難うございました。

 

見送られながらデリカに乗り込む。

悲しそうな表情を見せる皆の中で

一番下のお嬢ちゃんだけがいつもと変わらない笑顔で手を振っている。

俺らがすぐまた帰ってくると思っているのかもしれない。

 

ミラー越しに見える皆の姿が徐々に小さくなっていき、ついに見えなくなった。

車を覆う雨音がさらに激しくなってきた。

 

車内では長い沈黙が流れている。

 

隆は何を考えているのだろうか。

こんな形で街を出ることになるのは、本当に残念だし

皆には何と伝えればいいのか。これじゃあ夜逃げも同然じゃないか。

 

街をでて2時間程、あたりが真っ暗になったところで

この日は道路脇で車中泊した。

 

出国までのリミットはあと3日。

僕らは無事、国を出れるのだろうか…

 

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